小学生が背負うランドセル。筆者自身も背負ってきましたが、結構重いですよね。
近年の教材資料の多さ、拡大さにより一層重さを増すランドセルの総量は、成長期に与える健康被害も懸念されています。
そんな中、ランドセルの重さを軽減する商品を発明して好評をきしていた「さんぽセル」に対して批判が殺到する事態に!
一体なぜか?
今回は「さんぽセル」事件についてまとめました。
ランドセルの重さ体感90%軽減「さんぽセル」
2022年4月発売「さんぽセル」
小学生の小学生による発明であり、タイヤ付きスティックをランドセルに取り付け、背負うだけでなくキャリーバッグのように持ち運べるようにした商品です。
通学時のランドセルの重さは約6キロとも言われており、通常のランドセルにタイヤ付スティック2本(280グラム)をつけてキャリーのようにも使えるようにしたようです。
この重さを考えると、背負う時の重さは少し増えますが、転がして歩けると負担がだいぶ減るだろうと思われます。
2022年4月の記事ではこのように紹介されています。
キャリー時の体感荷重はランドセルの重量が5キロである場合、体感では「約500グラム」まで軽減できるとしている。
本体重量は280グラムと軽量で、消耗のあるタイヤ部分は交換式で長期間快適に使えるようにした。価格は5940円で、収益の一部は廃校の遊び場への活用に利用するという。
引用元:YAHOO!ニュース
公式サイトではこのような紹介文がのせられていました。
いつでも背負ったりひいたり ワンタッチで伸縮可能な構造。 歩道橋や学校内などの凹凸の ある地形でも自在に、キャリー ケース⇔ランドセルを変形する ことができます。
引用元:さんぽセル
公式サイトはこちら
発案者は栃木県の小学生
開発元「悟空のきもちLABO」によると、さんぽセルのアイデアの発案者は栃木県の小学生。
自分たちも重いランドセルに苦しんだからこそのアイデアで、医学生や自転車の安全部品を製造する企業が協力、実際の小学生の耐久テストなどを経て製品化したとのこと。
4月に販売されてすぐ注文が殺到し現在(2022年6月)3ヶ月待ちになる人気ぶり!
販売元はこちら→さんぽセル
コメント欄は1000件以上の騒ぎに
ところが販売好評の中、ネットニュースには批判的コメントが多数寄せられたとのこと。
どんな意見か、一部見ていきましょう。
批判的なコメントは?
背負うことで『両手が自由になる』よね。
キャリーは『必ず片手が塞がれる』ね。
引くときには『姿勢が少なからず傾く』よね。
ランドセルを背負って成長に悪影響と言うなら、キャリーを引くことで姿勢が傾く悪影響はないのかな?
キャスター型にすると階段の昇り降りが大変そうだということと、雨の日などは片手に傘片手にキャスターはつらそうだということと、何よりすれ違う歩行者、車、バイク、自転車、ベビーカー、車椅子などとぶつかったり、場合によってはタイヤに巻き込まれて事故にならないかが心配
過去にキャリーに躓いて、怪我した方が訴訟をして賠償金が発生した事もある。また、登下校時に子供の遊び道具になる可能性も高い。親はずっと見張れないので、事故に繋がるのではと思う。
ランドセル、背負うから安全なんです!
両手が空くことはもちろん、交通事故などで飛ばされた際にクッションになるのです。
坂道とかでうっかり手を離したら、大惨事ですね。結構スピード出ると思いますが。
新しい発想だと思うけど、踏切を渡って学校に行ってるうちの子には、心配でつけられない。
万が一、タイヤが挟まったらと思うと恐ろしくて‥
重いものを背負って通学する。
低学年には少しきついかもしれないけど体力作りのいい訓練だと思いますけどね。
成長に悪いってほんとかな? 子供には何にもさせない方が成長に悪いと思うけど。
上記引用元:YAHOO!ニュース
コメントの中には、子供の安全性を心配する声も多く見られました。
重い荷物を背負って登校する子供についての心配はあるものの、特に低学年では背負うか引くかの判断ができるか、キャリーによる事故にならないかが心配という声はよく見られました。
商品に賛成するコメントや他の問題提起も。
入れる中身の方も、もっと簡素に出来ないのかなあ。
タブレットがあるならテキストは全部それで見れるようにするとか、紙ベースのままなら重い資料集とかだけでも置き勉OKにするとか。体操着とか給食着とかの洗濯物は、いっそ学校に洗濯機を置いて学校で洗濯するようにするとか…。洗濯の実習にもなるだろうし。
思い切ってランドセル購入を止めてアウトドアメーカーの「リュック」で登校しています。 元々がランドセルよりも軽く、肩ベルトもしっかりしているので、とても快適そうに見えます。(中略)校長先生も他の親や生徒からの質問に、「ランドセルは決まりじゃないからいいんだよ」と答えてくれています。「決まりじゃないよ」から、子どもたちの選択肢が増えていく事を願います。
引用元:YAHOO!ニュース
ランドセルそのものより、中身の教科書への配慮はどうにかなかないの?という意見は多く見られました。
国会でも審議されましたが、そもそもの教材が昔よりずっと多くなっているんですよね。
対する開発小学生の反論
”子供の事よくわかってないのでは?”
→いま小学5年生です。作ったときは4年生です。
子どものことよくわかってなかったら、ごめんなさい。
”体のバランスが悪くなり背骨の歪みが出て体調が悪くなると思うので心配です。”
→それは重いランドセルでなる「ランドセル症候群」って言われている病気。
僕たちは、それを解決しようとしているので、心配する方向が反対。
”ランドセルに取り付けた防犯ブザーがいざというとき使えない”
→防犯ブザーをポケットに入れたりネックレスにすればいい。ランドセル置いて逃げられて身軽だし、いまより速く逃げられる。
”重いだろうけど、楽したら筋力低下していかん!体も心も鍛えないと!”
→重い灯油缶を、毎日背負っている大人が言うなら許すけど、灯油缶を遠くに運ぶ時はタイヤを使うでしょ。同じことです。
”急に走ったり止まったり。その辺の摩訶不思議な子供の動きに対応できない”
→摩訶不思議な子供の動きに対応したら、危ない。通学で走れないことはむしろ安全!
”ずっと平な道ではないし、階段もあるから背負ってる方が楽”
→元はランドセルなんだからそのまま背負えます。すぐそれができるように作ってるので、考えて文句を言って。
非常にキレのある返答ですね!精神論や机上の空論でなく、「ちゃんと商品を見てから文句を言って欲しい」と伝えられていました。
公式ホームページにもありましたが、転がす背負うと言う両面から考えられているんですよね。
耐久性や使用テストに関しても勿論審査されており、以下のようなコメントが見られました。
実際に試作品を小学生に使用してもらったところ、想定外の使い方で耐久性の問題が発生した。構造をいったん白紙化し、自動車の安全部品などを手掛けるアオキシンテック(栃木県)の職人の協力のもと、問題個所の構造を変更。同時に、協力した大学生たちによる合計500キロの歩行耐久試験も実施した。
悟空のきもちTHE LABOの永野弘樹社長に、安全性について聞くと「この3カ月をかけて試験を繰り返し、安全性の確認をしてきました。協力してくれた大学生は500キロの走行耐久試験を実施してくれましたが、問題ありませんでした
引用元:ITmediaビジネス
共同開発した大学生の太田旭氏からのコメント
「脱ゆとり教育の都合で、勝手に異常な重さにさせられた小学生のランドセル。大人たちは、かわいそうと言いますが、助けたり現状を変えたりはしてはくれず、小学生たちが自分たちを守ろうと考えたものを批判をします。作った小学生たちは、気持ちよく学校に行きたいだけなのです。本当はいつかランドセルすらなくなって、さんぽセルが売れない時代を夢見ています」
引用元:ITmedeiaビジネス
開発した小学生のきっかけであった廃校にゲーム部屋を作ることは、2022年夏に実現が確定したそうです。
今後はクラウドファウンディングをして、社会が無視できない数のさんぽセルを友達に配る資金に活用するとのこと。
さんぽセルのクラウドファウンディングはこちら
ランドセル症候群とは?
ランドセル症候群とは
「ランドセルが重くて、子どもが心身に不調をきたすこと」
主な症状としては、肩や腰に痛みや筋肉痛を感じる身体的悪影響。
ランドセルを背負うことにストレスを感じ、通学そのものが憂鬱になる精神的悪影響があると言われています。
教科書の重さは40年で約2倍以上になった。
業界最大手の東京書籍によると、約40年前に使われていた小学3年生の国語、算数、理科、社会の教科書の重さは計約990グラムだったが、現行版では計約2150グラムになる
引用元:朝日新聞
現代の小学生は、「脱ゆとり教育」の影響で教科書が厚く、重くなりサイズも大きくなっているとのこと。
8教科の教科書、資料、ノートに加え、文房具や水筒などの必要用品を考えたら、、、それは重たくなりますよね。
2018年に国会でも「置き勉」について質疑され取り上げられましたが、結局は「各教育現場が判断するべき」となっており、具体的な改善措置は現場に任されています。
デジタル化も進む中、難しい対応が各学校に求められている時代になっていますね。
個人的には、毎日宿題が出て教科書や資料を確認する子もいるわけで、置き勉だけで解決する問題ではないと思うのですが、、、。
アメリカ小児科学会「バックパックの重さは体重の10〜20%を超えないようにすること」
現在の小学1年生の平均体重約20kgに対して約6kgを背負う現状。
これは60kgの成人に対して18kgのバックパックを毎日持ち歩く生活をしていることと同じ負担です。
こう聞くと、小さな小学生が背負う負担が分かりますよね。
荷物の重さは、体重に対して10〜20%、理想は10%内が望ましいとされています。
大人だって嫌だと思う荷物の重さ問題。
現状のランドセルの重さの実態を考えて、子供の負担軽減を考えて良いと思ってしまいます。
まとめ
・栃木の小学生が発案、大学生や企業と共同開発したランドセルを軽減する商品「さんぽセル」が3ヶ月待ちの大人気に。
・ネットニュースで大人からの批判殺到。それに対して小学生が真っ向から論破。
・ランドセルが重くなった背景は教科書の増量、巨大化。
今後どのような展開になるかまだ分かりませんが、子供たちが健やかに快適に学校に通えるように、色々な選択肢が増えることを願っています。