映画『シン・ウルトラマン』のシンの意味と 庵野秀明 シン・シリーズとは?

2022年4月、映画監督の庵野秀明氏が紫綬褒章を受章されました。おめでとうございます。ここでは、庵野監督の最新作「シン・ウルトラマン」のシンの意味について探っていきたいと思います。

シン・ウルトラマンのシンの意味は?

シンについて

シン・ウルトラマンの「シン」には漢字表記がなされていません。
シン・シリーズの第1作「シン・ゴジラ」時点での公式発言では「新」、「真」、「神」などの様々な意味を感じてもらいたいという意図を込めて付けられたとあります。(livedoor_news 2016年9月2日の記事より抜粋)
「シン」の意味には正解が存在するわけではなく、様々な意味を重ねて「シン」というカタカナ表記を採用しているそうです。見る人それぞれの答えを感じてもらいたい、という思いが込められているようです。

他にも、ファンからは上述の「シン」以外にも「震」や「深」、「sin」(英語で罪)など様々な「シン」を見出したという声もあります。
また、庵野監督が立ち上げた現在の制作会社『株式会社カラー』は、現在の名前に決まる前に社名候補に『シン・企画』があったとカラーの公式アカウントで語られている事から、庵野監督の中で「シン」はかなり大きな意味を持つ言葉なのではないかと考えられます。

前作の「シン・エヴァンゲリオン」での「シン」

主人公である「碇シンジ」が「真」の覚醒をする物語。
タイトルにある「:||」が意味するものとして「“反復”こそがエヴァの物語の“終わり”となる」「新劇場版=テレビアニメ版・旧劇場版のループ後の世界」といった解釈があり、「くりかえし」の物語の先にある「前進」「シン」という結末を想像させると考えられています。

シンの意味するもの

シン・ウルトラマンのシンの意味するものは以下の4つがあると考えます。

①人間への親愛を表す「シン」
②身体に関する「シン」
③真実のウルトラマンを描く「シン」
④主人公の名前シンジの「シン」

①「親愛」の「シン」
ポスターには「空想と浪漫。そして、友情」 というキャッチコピーがあります。
「シン・ウルトラマン」では、人間に親愛の気持ちが生まれたウルトラマンを描いていくストーリーの可能性があると考えます。

②「身体」の「シン」
前回ウルトラマンが敗北し、相当なダメージを受けていたため光の国へ帰るようにと促された時にウルトラマンは「私の体は、私だけの物ではない。私が帰ったら、一人の地球人が死んでしまう。私は地球に残る」という言葉を残しています。この事から、今回は人間の身体に関するストーリーが出てくるのではないかと考えます。

③「真実」の「シン」
庵野秀明さんは、成田亨さんが描いた「真実と正義と美の化身」というタイトルの絵を見て「この美しさを何とか映像にできないかという想いが、今作のデザインコンセプトの原点でした。」という言葉を残しています。
「シン・ウルトラマン」ではウルトラマンをデザインした成田亨さんへの敬意を示し、成田亨さんが目指していた本来のウルトラマン・真のウルトラマンを描くことがテーマであるのではないでしょうか。

④主人公の名前「シンジ」
斎藤工さんが演じる主人公の名前が「神永新二(かみなが・しんじ)」であることが発表されました。エヴァンゲリオンの主人公である「碇シンジ」と同じ「シンジ」です。
2022年2月13日に都内で開催された円谷プロダクションのラインナップ発表会では、斎藤工さんから「シンジは意味のある名前だと思っています。」という発言がありました。

庵野秀明 シン・シリーズとは

庵野秀明氏が監督や企画、脚本を務める一連の映画作品シリーズ。
タイトルの頭に「シン」と付くことから通称されています。

シン・シリーズとされる作品と公開日、庵野秀明氏の立場

「シン・ゴジラ」2016年7月公開 (脚本・編集・総監督など)
初代ゴジラのリメイク プロジェクト第1作

「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」2021年3月公開(企画・原作・脚本・総監督)エヴァンゲリオンシリーズの完結作

「シン・ウルトラマン」2022年5月13日公開予定 (企画・脚本)
初代ウルトラマンのリメイク

「シン・仮面ライダー」2023年3月公開予定  (脚本・監督)
初代仮面ライダーのリメイク。仮面ライダー生誕50周年記念作品

以上4作品です。エヴァンゲリオン以外の3作品は実写映画となっています。
ちなみにゴジラが公開されたのは1954年
ウルトラマンは1966年
仮面ライダーは1971年のテレビ番組
庵野監督は1971年生まれです。

「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」とは

2022年、東宝・カラー・円谷プロ・東映の4社合同で、庵野秀明氏の「シン・」シリーズ4作品をまとめたプロジェクトです。

庵野秀明氏はSJHU公式HPで以下のようにコメントしています。
「SJHUは日本の文化として誇るキャラクターをコラボという形状で纏めて、世界に拡げて楽しんでもらえないかという想いからスタートした企画であり、 作品世界やコンテンツホルダーの会社枠を超えた展開には、理由が必要でした。その方便として「シン」という共通項を使った企画です。また、このように版権元が多岐にわたる企画は調整が困難で、ビジネス面でのメリットは大きくありません。ビジネスよりもファンサービスを優先できるコンテンツホルダー同士が協力しあう事ではじめて可能な企画です。将来的には「シン」の括りが外れ、「ヒーロー」だけでなく「キャラクター」となり、他の作品も含め、国内だけでなく世界に向けた展開を目指し、その礎になればと願った企画です。」
(公式HPから一部、部分抜粋)
そして最後に
「アニメ・特撮ファン 庵野秀明」と記しています。

庵野秀明氏は、エヴァンゲリオンシリーズを代表作とする日本のアニメ監督です。そして古くから特撮作品への造詣や愛情が深い。ウルトラマンシリーズは庵野氏の代表作であるエヴァンゲリオンのアイディアの元ネタの一つであることが明かされています。また、仮面ライダーシリーズに関しても幼少期からのファンです。平成ライダーの中でも仮面ライダー555はベルトを子供用・大人用を問わずに購入するほどのファンであったことが明かされています。

映画『シン・ウルトラマン』とは

企画・脚本 庵野秀明×監督 樋口真嗣 『シン・ゴジラ』のコンビが、超豪華キャストで日本を代表するヒーロー“ウルトラマン”を描く作品です。

あらすじ

科学特捜隊のハヤタ隊員は、パトロールの際にM78星雲人・ウルトラマンと衝突したのが原因で瀕死状態に陥ってしまう。そんなハヤタを見たウルトラマンは、彼と命を共有。一つになった彼らは、やがて地球の平和を守るために共に戦うことを決意する。

【公開日】

2022年5月13日(金曜日)

【キャスト】

斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、早見あかり
田中哲司、西島秀俊、山本耕史、岩松了、長塚圭史、嶋田久作、益岡徹
山崎一、和田聰宏

【監督】樋口真嗣
【企画・脚本】庵野秀明
【製作】塚越隆行、市川南
【音楽】鷺巣詩郎

まとめ

シン・シリーズ4作品の「シン」は、漢字でなくカタカナ表記にすることで、監督の「見る人それぞれの答えを感じてもらいたい」という思いが込められていることがわかりました。「シン」に関して正解は無く、我々がどのように感じるかで良いようです。
今回記載した以外にも「シン」には「神」や「心」などもあります。
カタカナ表記にすることで「シン」という言葉一つに様々な意味を持たせることができますね。これから公開される「シン・ウルトラマン」はどんな「シン」になるのでしょうか。映画を見てみなさんはどんな漢字を思うのでしょうか。
映画の公開が楽しみですね。